豆知識
精進落としの意味とマナー
皆様、例年以上に寒い日が続いておりますので一層のご自愛をいただき、本年もよろしくお願いいたします。
今回は精進落としの意味やマナーなどのお話をさせていただきます。
精進落としとはどのようなもの?
【精進落とし】とは、所説ありますが、一般的には巡礼、祭礼、神事、葬儀などの必要な行事ごとが終わった後に、会葬者や宗教者を労うという目的で準備するお食事のことを言います。
一部の仏教の教えでは、忌明け(故人の冥福を祈り、遺族が喪に服す期間を終えること)までの間は故人様が彼の地に行かれるために修行をしている期間だというふうに捉えられているので、ご家族様もその考えに沿って、故人様の徳を積むために肉や魚などの殺生に関わる食事を避け、野菜、豆類、穀物などの食材を主に使用した精進料理を食べていました。
精進落としは本来、忌明けの時に精進料理から元の日常の食事に戻すことを呼んでいたそうです。
今では、葬儀後の休憩時間を利用しての食事を呼ぶことが多いです。
昔と今では少し意味合いが変わってきている部分もありますが、会葬者を労うという気持ちは同じです。
また地方によっては【精進あげ】【お斎(おとき)】【仕上げ】と呼ぶこともあります。
【精進あげ】と【精進落とし】の違いですが、【精進あげ】は精進料理を食すことを言い、【精進落とし】は精進料理の生活から普通の食事に戻すことを言います。
宗派の関係上、浄土真宗では【精進落とし】とは言わず、【精進あげ】と言います。
神式の場合は【直会(なおらい)】、キリスト教の場合は【茶話会(さわかい)】と呼びます。
精進落としメニューとは?
精進落としは、参列された方々や宗教者を労うという意味合いが大きいので、一般的な食事とは違い、少し豪華なメニューや彩りのある物が多くなります。
メニューの内容としては基本的に和食になりますが、祝い事を連想させてしまう鯛や伊勢エビなどは避けられています。
精進落としの費用の目安としては、一人あたり4,000円から6,000円位です。
宗教者を精進落としに呼ばれないときには、お布施と合わせて「お膳料」というかたちで、食事のおもてなしを受けてもらえない代わりのお礼として、いくらか金額を包まれるケースが多いです。
精進落としのマナーとは?
参列者側としては、ご遺族の方から精進落としに誘われた場合はなるべく参加するようにしましょう。
精進落としの場では、故人様のことを偲びながら思い出を語り合う場になるので、逆に故人様の最期の姿の事や病気のことなどを話すのは控えましょう。
このような場では、【たびたび】や【くれぐれ】などの、不幸ごとが続いてしまうと連想される「重ね言葉」は使わないように気をつけてください。
精進落としの席では、喪主が始まりと終わりの挨拶をします。
挨拶の内容と言っても、一般的に葬儀に参列してもらったことのお礼を述べる程度で、あまり長々と話さず、短くまとめるのが良いでしょう。
始まりの挨拶のあとに献杯(けんぱい)の音頭をとります。
献杯とは、故人様を敬う気持ちを表して杯を捧げるので、普段の会食や飲み会のときのようにグラスとグラスを合わせて音を鳴らしたり大声を出したりせずに行います。
献杯の音頭を取る際は、控えめに落ち着いた声で、互いにグラスを合わせず、自身の体の胸の高さ程度にグラスを留めて行いましょう。
献杯は乾杯とは意味も作法も違うので、お気を付け下さい。
いかがでしたでしょうか?
古くから伝わる精進落としの意味と現代の精進落としでは捉え方が少し変わりつつあるような気がしますが、根底として、宗教者や会葬者を労うところは昔も今も変わっていないと思います。
また招く側としては、参列者への気配りとして、食物アレルギーなどの有無も前もって確認しておくと、より丁寧でしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。