豆知識

葬儀の流れとマナー

今回は、これからお葬式のことを考え出す方や、ご自身の最期を考える「終活」真っ只中の方に向けて、「お葬式とは、どんな流れで進むのか?」「葬儀に参列する際、どんな準備が必要なのか?」を、順を追って紹介させていただきます。

危篤・臨終

 大切な方の危篤の連絡を受けた際は、家族や友人など、会わせたい方に急ぎ連絡をとり、病院へ駆けつけます。緊急の連絡のため、どのような時間帯でも電話で連絡をしても失礼にはあたりません。最低限の挨拶と簡潔に要点を伝えましょう。
※最近は感染症拡大防止対策のため、危篤の患者に対しても面会人数に制限を設けている病院がございます。万が一の際、面会は何名まで可能なのかは、病院側に予め確認をとることをおすすめします。

大切な方を看取られた後は、病院であれば医師に「死亡診断書」を発行していただき、看護師に故人様の「清拭」、または「エンゼルケア」と呼ばれる「死後の処置」を施していただきます。
※このとき発行される「死亡診断書」は、お葬式を行うための手続きで必要になりますので、紛失や破損のないよう気をつけましょう。
※「エンゼルケア」では、故人様のお化粧やお髭剃り、中には好きな服へのお着替えなどを行う病院もございますが、処置の内容については病院によって大きく異なりますので、予めどこまでの処置をしていただけるのか確認をとることをおすすめします。

入院されている病院での「エンゼルケア」の処置ではご希望が叶わない場合、葬儀会社によっては「湯灌」、「エンバーミング」などの御遺体処置の専門業者を手配することもできます。

お迎え・ご安置

医師から「死亡診断書」を受け取り、故人様の処置が終われば、病院では長時間、故人様をご安置できないことが多いため、急ぎ故人様をお迎えにあがる車(寝台車)と、安置先の手配をする必要がございます。ご自宅で故人様にお休みいただける場所が無い場合は、霊安室を完備した葬儀会社に依頼しましょう。
※事前に調べる時間も無く、病院側から寝台車や安置先を紹介された場合も、一旦は紹介された業者を調べるようにしましょう。
中には、病院と提携した葬儀会社がお迎えにあがり、想定していたお葬式の規模・予算を大きく超えるというケースもございます。

葬儀の手続き・打合せ

故人様のお迎えからご安置まで終われば、ここからはご遺族様と葬儀会社とでお葬式の打合せが行われます。
まずご遺族様には、「死亡届」を記入していただき、役所に届出をしていただく必要がございます。
よく、「死亡届は7日以内に届出する必要がある」と説明されて誤解されがちですが、実際は火葬場を予約するために死亡届の届出が必要ですので、すぐに役所へ届出ないといけません。
死亡届について、現在は医師が発行する「死亡診断書」と兼用の用紙が多いため、わざわざ役所に受け取りに行く必要はありません。死亡届の記入方法や役所への届出については、フローラルホールはもちろん、他の葬儀会社でも説明や代行をしてもらえることがあります。

葬儀の打合せでは、主に以下のような内容を決めていきます。

・喪主は誰が務めるのか?
・葬儀の形式はどうするのか?(仏式や神式、一般葬や家族葬、など)
・葬儀の日程はどうするか?(火葬場の空き状況や、宗教者の都合などを調整しながら決める)
・誰に参列してもらうのか?(家族や親しい友人だけか、ご近所の方にも声をかけるのか、など)
・参列者への対応をどうするのか?(受付が必要なのか、粗供養やお食事を用意するのか)
・その他、必要なオプションなどはないか?

打合せで葬儀の形式や規模が決まれば、参列者への連絡や、遺影で使用するお写真選びなどの準備が始まります。

通夜

こちらについては、ご遺族様と参列者の方と、それぞれの立場での対応を分けて説明致します。

【ご遺族様】
主に、儀式を進行する宗教者や、弔問客(お通夜に参列された方)への挨拶などの対応を行います。宗教者が来られたら控室へご案内し、喪主から赴いてご挨拶いただきます。弔問客に対しては、お通夜に駆けつけてくれたお礼を言い、粗供養品を渡し、「通夜ぶるまい」と呼ばれるお食事に同席してもらうようお声をかけることもあります。喪主を務められる方については、通夜後に弔問客の皆様に対してご挨拶していただくこともございます。

【参列者】
まずは受付にて芳名帳に記帳を行い、御香典をお渡ししましょう。御香典は不祝儀袋に入れ、袱紗に包んでご持参下さい。
不祝儀袋には様々な表書きのものがありますが、中には特定の宗派でしか使用できないものもあります。ご遺族の宗派がわからない場合は、「御霊前」と書かれた不祝儀袋を使用するとよいでしょう。
また、御香典として使用するお金には、新札ではなく、適度に折り目のついたお札を使用して下さい。
受付を済ませた後は、ご遺族様にお悔やみの言葉を述べに行きます。
このお悔やみの言葉についても、宗派によっては言うべきでない「忌み言葉」や、不幸なことが重なる、繰り返されることを連想される「重ね言葉」などは使用すべきではありません。

「忌み言葉」:神社神道・キリスト教における「成仏」や「ご冥福」など
「重ね言葉」:「いろいろ」、「くれぐれも」、「度々」など
「繰り返し言葉」:「再び」、「続く」、「次に」などの、不幸なことが続くと連想させる言葉
※この他にも、「死」や「不幸」などのマイナスなイメージを連想させる言葉も避けましょう。

お悔やみの言葉で使用してはいけない言葉というものはたくさんありますが、そればかり意識してしまうと、いざご遺族様の目の前に立った際に何も言えなくなってしまいます。
もちろん、マイナスなイメージを持つ言葉は避けるべきですが、正直に故人様の死を悲しむお気持ちと、ご遺族様の身を案じるお言葉をかけてあげられれば、ご自身の言い方で伝えても失礼とはとられません。

告別式

お葬式でよく聞く「告別式」とは一般的に、宗教的儀礼である「葬儀式」と、故人様とご遺族様・ご参列者との最後のお別れにあたる「告別式」をまとめた言い方であることが多いです。
お通夜と同様に、葬儀式では宗教者による儀式進行が行われ、告別式では、故人様のお棺へお花や副葬品を入れてお別れをしていただきます。
地域によって異なりますが、火葬場に到着した後は、お棺の窓を開けることや、お棺の蓋を外すことができないこともあるため、故人様のお顔を見てのお別れは告別式が最後となるケースもございます。

出棺・火葬

告別式の後、ご遺族様、ご参列者にお手添えいただき、故人様を霊柩車までお連れします。
その後、ご遺族様もバスやタクシーにご乗車いただき、火葬場までご同行いただきます。
ご一般の参列者については、式場にて故人様、ご遺族様の出発を見送ることが多いです。

お骨上げ

火葬場に到着した後、90分~2時間ほどお待ちいただき、骨壷にご遺骨をおさめる「お骨上げ」が行われます。
こちらでも、ご遺族様数名で一つの遺骨を一緒にお箸でおさめる「箸渡し」や、木と竹などの違う材質で一対としたお箸を使用して行われる「違い箸」など、地域によってお骨上げの作法が異なります。

初七日法要

仏教において、本来ではお亡くなりになられた日から7日後に行われる法要ですが、昨今ご遺族様も何度も集まることが難しくなってきておりますので、初七日法要についてはお葬式の当日に行うというケースが多くなっております。
さらには、ご遺族様の体力的な負担を考慮し、葬儀式に引き続いて、火葬前に初七日法要を行う「式中初七日」という形式もございます。
※「式中初七日」という形式は最近行われ始めたものであり、実際に行うためには、葬儀に参列されるご親戚様、儀式を進行される宗教者の了解が必要です。
※神式の場合、10日後に行われる「十日祭」というものがございますが、こちらも最近ではお葬式当日に行われるケースが増えております。

お葬式後の手続き・法要

お葬式が終わった後は、年金の支給停止や国民健康保険などの資格喪失、遺産相続などの手続きを急ぎ行わなければいけません。
また、お亡くなりになられた日から49日後に行われる「四十九日法要」のために、宗教者への依頼や法要会場の手配、法要が終わった後にご遺骨を納めるお墓や納骨堂の手配、お葬式の際に御香典をいただいた方への「返礼品」の手配などが、お葬式を終えた後に必要となります。

 

いかがでしたでしょうか?
葬儀の流れについてかいつまんで書いたつもりですが、それでも全て読むのは大変だったかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、一般的な葬儀の流れを例に書かせていただきましたが、全てのご遺族様が今回のような内容を行っているわけではありません。
「家族葬」や、「一日葬」、「直葬」と呼ばれる形式では、お葬式の流れのいくつかがシンプルになり、ご遺族様の負担が軽減されることもあります。

どのようなお葬式を希望されるのか、それはご遺族様ごとに違って、同じ内容のものはございません。希望が違えば、もちろんお葬式の流れもマナーも違ってくるわけです。
まずは、ご自身が、あるいはご家族様がどのようなお葬式を望んでおられるのかを、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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