豆知識

焼香の意味と作法

今回は仏教のお葬式でよく目にする「お焼香」について少しお話させていただきます。

お焼香の意味

お焼香とは、仏様や死者に向けて香を焚いて拝むことを言います。
お焼香は主に「香り」をその場に立たせることを目的としており、その香りには様々な意味が含まれております。
仏教では、極楽浄土は良い香りに満ちているとされており、仏様は極楽浄土から、良い香りと共に故人様を迎えに来るといわれております。その様子を表現し、香りや煙により故人様が迷わず極楽へ旅立てるように、お葬式でお焼香をあげるようになったと言われております。

また、仏教発祥のインドでは仏教が始まる以前から部屋の匂い消しとして香が用いられてきましたが、日本では主に以下の3つの理由からお焼香が行われていたそうです。

1. 自身の身を清めるため
自身を浄化する目的と、邪気や汚れを払って体を清めるためにお焼香が行われていたようです。

2. 仏様への敬意
香を焚くことで謙譲の意を表し、仏様への敬意とともに故人様を浄土へ導いて下さいという願いが込められていたようです。

3. 故人様への弔い
故人様の生前の行いを称え、香を手向けて成仏をお祈りしていたそうです。

このように日本では、香を焚くことによる精神的な意味合いが強かったようです。

お焼香の作法

一般的にお焼香には、「立礼焼香」、「座礼焼香」、「回し焼香」の3種類がございます。

【立礼焼香】
葬儀社の会館でのお葬式で主に行います。式場の多くはお棺の近くに焼香台が準備されておりますので、順番が来ましたらご起立いただき、焼香台まで進んでお焼香を行います。お焼香の流れは以下の通りです。

1、ご自身の順番が来ましたら焼香台へと進む
2、焼香台の手前で一度止まり、ご遺族様へ一礼(家族葬では省略することもございます)
3、遺影・宗教者に一礼(焼香台の配置によっては分けて礼を行う場合もございます)
4、お焼香、合掌礼拝
5、ご遺族様に一礼ののち自席へ戻る

【座礼焼香】
自宅やお寺での畳が敷かれた場所でのお葬式で主に行います。流れは立礼焼香と変わりはございません。しかし、座礼焼香では立礼焼香と違い、『膝行・膝退』と呼ばれる腰を落としての焼香炉への移動と、正座でお焼香を行います。

【回し焼香】
式場が狭い会館などでのお葬式で主に行います。座ったまま自席でお焼香を行い、お焼香を終えると焼香炉自体を隣の人へと順番に回していただくという方法をとります。

1、ご自身の前に焼香炉が回ってきましたら、軽く会釈をして受け取ります。
2、立礼焼香と同じ流れでお焼香・合掌礼拝
3、隣の方へ焼香炉を回す
(座椅子などにお座りの方は、膝の上に焼香炉を乗せるか、一旦椅子からおりて行います)

お焼香の回数

お焼香の作法にはいくつか種類がございますが、右手三本指(親指・人差し指・中指)で抹香(粉末状にした香木)を少量つまみ、額に押しいただき、指をこすりながら焼香炉に落とすというのが基本的な作法でございます。
細かな作法や回数は、宗派によって異なります。

・浄土真宗本願寺派  ・・・1回(額に押しいただかない)
・真宗大谷派     ・・・2回(額に押しいただかない)
・浄土宗       ・・・1~2回(額に押しいただく)
・真言宗       ・・・3回(額に押しいただく)
・曹洞宗       ・・・2回(1回目押しいただく、2回目押しいただかない)
・天台宗       ・・・特に決まりなし
・臨済宗       ・・・1回(押しいただいても、いただかなくてもいい)
・日蓮宗       ・・・1回または3回(額に押しいただく)
宗派によっては額に押しいただかない・右手2本指でつまむ・抹香が落ちないように左手を添えるなど方法は変わってきますので、ご不明な場合は葬儀社にお問合せ下さい。
※相手の宗派に沿ってお焼香を行うほうが丁寧ですが、ご自身の信仰している宗派がございましたら、その宗派に沿ったお焼香の作法でも問題ございません

 

最後までご覧いただきまして、有難うございます。
宗派によるお焼香の作法の違いなどをお話しさせていただきましたが、一番はお気持ちを込めてお焼香をしていただくことですので、故人様を偲び、お悲しみの中のご遺族様を思ってお焼香を行なっていただければと思います。

 

 

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