豆知識
湯灌の儀の意義とマナー
皆様こんにちは。
今回、湯灌の儀の意義とマナーをお話しさせていただきます。
湯灌の由来
生前の苦しみや悩みを全て洗い流して清らかにし、新しい世界への旅支度をすることといわれています。
故人様に最期の癒しをあたえて、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える大切な儀式です。
湯灌の歴史
日本では、諸説ありますが、江戸時代に始まり、各ご家庭で湯灌をされていたと言われています。
湯灌の後に着付ける経帷子(白木綿・白麻の着物に経文が書かれたもの)は、昔では近親の女性が共同で仕立てて用意されていたそうです。
現代では、病院や養老施設などで最期の時を迎えられる方が多く、看護師・介護士の手でエンゼルケアをされるため、ご家庭で湯灌を行うということが減り、専門的な処置は湯灌士・納棺士に依頼されることが多くなりました。
湯灌の儀
皆様は「湯灌」とはどういったものなのか、何をするのかご存知でしょうか。
湯灌とは、お亡くなりになった方をご家族様、あるいは専門業者(湯灌士)の手で入浴させ、身支度を整えてあげることをいいます。
現代でおこなわれている湯灌の内容をお話しさせていただきます。
まずは、お葬式の内容を決める打ち合わせの段階で、ご家族様に湯灌をされるかどうかを確認します。湯灌を必ず行わないといけないわけではないですが、お世話になった故人様に、せめて最後になにかしてあげよう、と考えて湯灌を行うご家族様が多いです。
ご家族様が湯灌を希望される理由としては、
「病院生活が長く、あまりお風呂に入れてあげられなかったから、最後にお風呂いれてあげよう」
「スーツや着物、生前着られていたお洋服などに着替えさせてあげよう」
など様々です。 病院で最後に看護師から受けるエンゼルケアだけで問題ないといった方もいますが、本来、エンゼルケアはお体を消毒液で拭くといった医療的処置であり、故人様へ感謝の気持ちを伝えるための、精神的・儀式的な意義を持つ湯灌とは、処置の内容や行う目的が全く違うものです。
旅装束(新しい世界へ旅立つ際の旅支度)は家族が用意しないとだめなの?といった質問をよく受けますが、一般的には、旅装束はどの葬儀社でも用意が可能です。旅装束をお着せするか、そのままのお姿で納棺するか確認させていただき、ご家族様のご希望に応じて処置をいたします。その際、葬儀社によっては旅装束やその着付けに費用がかかることもあるので、事前に確認していただくことをおすすめします。
スーツ・着物・生前着られていたお洋服などを着付けるには専門的な技術が必要ですので、プロの納棺師を手配する必要があるでしょう。納棺師は、お風呂・メイク・お洋服の着付けなどの対応が可能です。
湯灌の流れ(マナー)
故人様を棺へ納める前に、浴槽などの準備をし、たらいや桶に用意した水(逆さ水)を故人様へかけていただきながら、お体を清めていただきます。
<逆さ水とは>
普段行うようなお湯に水を入れて温度を調整するという手順ではなく、水にお湯をいれてぬるま湯にしたものをいいます。
昔は、死者と生者の世界を区別するために、「死」というものを「非日常」なものととらえられるよう、故人様のお頭を北側に向ける「北枕」や、故人様のお近くに立てる屏風を上下逆にするといった、日常とは逆のことを行う「逆さ事」というものが行われていました。「逆さ水」も、このような習慣に則った作法です。
逆さ水でお体を清めた後、故人様を浴槽で入浴させ、お体や髪を洗います。入浴後に旅装束を着付けまして、その後はメイク・髪染めをしてお顔を整えます。次に棺に納棺し、お顔周りの飾りをさせていただき、故人様の好きな物を一緒に納めていただきます。このような流れで、故人様の最期の旅支度を行います。
いかがでしたでしょうか?
湯灌は、本来はお葬式で行う儀式の一環として行われていましたが、現代では、ご家族様からの「大切な方をキレイな姿で送り出したい」という気持ちの現れとして行われていることが多いです。
お葬式については、各家庭で様々な考え方があります。
その考え方の一つとして、故人様に最期の感謝の気持ちを伝えていただくことも大事だと私は思っております。
そして、湯灌はご家族様からの感謝の気持ちを故人様に伝えるための最も意義のある行為だと考えます。
最期のお見送りをどのようにされるのか、どのように感謝の気持ちを伝えるのか、ご家族様で事前に相談されることが、いいお葬式をするために重要なことだと思います。